外用製剤の解説

貼付剤

貼付剤

貼付剤には、「パップ剤」と「テープ剤」があります。
パップ剤・テープ剤は、布やプラスチックフィルムなどに有効成分と基剤の混合物を薄く延ばして成型された製剤で、皮膚に適用して、皮膚表面の患部または皮膚を通して局所患部へ有効成分を到達させ効果を発揮する「局所製剤」と、有効成分を皮膚から吸収させて全身作用を期待する「経皮吸収型製剤」があります。
パップ剤・テープ剤の多くは、貼付部位の炎症を抑え、痛みを和らげる局所作用を期待する消炎鎮痛剤として広く用いられています。

消炎鎮痛剤として使われるパップ剤・テープ剤の特徴

局所効果が期待できる

パップ剤・テープ剤は患部に直接投与するため、患部への直接の効果が期待できます。

服薬が簡便

注射剤のような複雑な手技が不要です。また、服薬に水を必要とせず、いつでも服薬できます。

さまざまな大きさ

パップ剤・テープ剤にはさまざまなサイズがあり、患部の広さや貼付部位に応じて多様な選択ができます。

薬を飲みにくい方でも使いやすい

嚥下困難な方(高齢者などで飲み込むことに不安があるなど)でも簡単に使用できます。

初回通過効果を受けない

有効成分が皮膚から吸収されるため、肝臓での代謝を受けません。

簡単に投与を中断できる

副作用が出たときに剝がすだけですぐに投与を中止することができます。

全身性の副作用が少ない

局所的な治療が可能であるため全身への影響が少なく、全身性の副作用を軽減させることができます。

投与していることが分かりやすい

貼付(服薬)したかどうかを本人や介護者等が視覚的に確認できるため服薬忘れの回避に繋がります。

貼付剤の分類(種類)

貼付剤とは総称で、有効成分を作用させる範囲によって大きく「局所性」と「全身性」の2つに分かれ、
さらにその使用目的によって、「鎮痛剤」と「鎮痛剤以外」に分類されます。

鎮痛剤

鎮痛剤以外

局所性

「局所性 経皮吸収型鎮痛剤」
(代表的な製品:パップ剤・テープ剤)

「局所性 経皮吸収型製剤」
(代表的な製品:湿疹・皮膚炎治療薬)

全身性

「全身性 経皮吸収型鎮痛剤」
(代表的な製品:医療用麻薬)

「全身性 経皮吸収型製剤」
(代表的な製品:気管支喘息治療薬)

局所性

患部に貼付し、有効成分が直接浸透することで効果を発揮します

全身性

有効成分が皮膚の下の毛細血管を介して全身に到達することで効果を発揮します

貼付剤は、局所性・全身性を問わず、腰痛、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、狭心症、更年期障害、認知症、がん疼痛、パーキンソン病など様々な症状において、多くの患者さんの新たな治療の選択肢として貢献しています。

消炎鎮痛剤として使われるパップ剤・テープ剤

消炎鎮痛剤として使われる貼付剤は一般に、パップ剤とテープ剤に分類されます。
パップ剤は水を含む基剤を用いるのに対して、テープ剤は水をほとんど含まない基剤を用いており、
プラスター剤や硬膏剤などが該当します。

パップ剤

  • 水溶性高分子を主たる基剤構成成分とし、水分の配合量が多いことが特徴です。
  • 膏体が厚く含水量が多いので湿布効果が期待できます。
図:パップ剤

テープ剤

  • 多くは親油性高分子を主たる基剤構成成分としています。
  • 可動部位の貼付に適しています。
図:テープ剤

※製品により特徴・使用感等に違いがあります。ご使用にあたっては、医師、薬剤師及び看護師等の医療スタッフにご相談ください。

参考:第十八改正日本薬局方

11.7. 貼付剤

Patches

  1. 貼付剤は,皮膚に貼付する製剤である. 本剤には,テープ剤及びパップ剤がある.
  2. 本剤を製するには,通例,高分子化合物又はこれらの混合物を基剤とし,有効成分を基剤と混和し均質として,支持体又はライナー(剝離体)に展延して成形する.また,放出調節膜を用いた経皮吸収型製剤とすることができる.必要に応じて,粘着剤,吸収促進剤などを用いる.

11.7.1. テープ剤

Tapes

  1. テープ剤は,ほとんど水を含まない基剤を用いる貼付剤である. 本剤には,プラスター剤及び硬膏剤を含む.
  2. 本剤を製するには,通例,樹脂,プラスチック,ゴムなどの非水溶性の天然又は合成高分子化合物を基剤とし,有効成分をそのまま,又は有効成分に添加剤を加え,全体を均質とし,布に展延又はプラスチック製フィルムなどに展延若しくは封入して成形する.また,有効成分と基剤又はそのほかの添加剤からなる混合物を放出調節膜,支持体及びライナー(剝離体)でできた放出体に封入し成形して製することができる.

11.7.2. パップ剤

Cataplasms/Gel Patches

  1. パップ剤は,水を含む基剤を用いる貼付剤である.
  2. 本剤を製するには,通例,有効成分を精製水,グリセリンなどの液状の物質と混和し,全体を均質にするか,水溶性高分子,吸水性高分子などの天然又は合成高分子化合物を精製水と混ぜて練り合わせ,有効成分を加え,全体を均質にし,布などに展延して成形する.